エレベーターの日(11月10日)03

11月10日は「エレベーターの日」です。
日立製作所、三菱電機、東芝エレベータなどが会員に名を連ねる、一般社団法人 日本エレベーター協会によって制定されました。

日付の由来は、明治23年(1890年)のこの日に、東京・浅草に完成した12階建ての展望塔「凌雲閣」に、日本初の電動式エレベーターが設置されたことから。
毎年この時期には、日本エレベーター協会を中心とした、昇降機の安全・安心な利用のためのキャンペーンが実施されます。

エレベーター・エスカレーター安全利用キャンペーンポスター01
▲エレベーター・エスカレーター安全利用キャンペーンポスター。マナーよく、ルールを守って利用しましょう

今回は、そんな「エレベーターの日」にちなみ、凌雲閣のエレベーターの歴史や、現存する日本最古のエレベーター、さらにはエレベーターに関する雑学クイズを紹介します!


浅草凌雲閣とは?【関東大震災で崩壊】

浅草凌雲閣01
▲凌雲閣(りょううんかく)。高さは50m~66mだったと言われています

浅草凌雲閣は、当時の日本で一番高い建築物で、その階数から「浅草十二階」とも、前年に当時世界一の高さを誇ったエッフェル塔が完成したことから「日本のエッフェル塔」とも呼ばれていました。

凌雲閣は八角形の形をしており、1階から10階までがレンガ造りで、11・12階が木造り。電動エレベーターが運転されたのは8階までで、そこから頂上の12階へは螺旋階段で昇っていたんだとか。
当時の雑誌によると、エレベーターは黄色と赤色の2台があり、1台の広さは3畳ほどで、1度に15人~20人ほどの乗客を乗せていたそうです。

震災後の浅草凌雲閣01
▲震災後の凌雲閣

ただし、凌雲閣のエレベーターは開業前から不調が続いており、わずか半年で当時の警視庁から運転が差し止められ、撤去されてしまったとのこと。
凌雲閣の建物自体も、大正12年(1923年)9月1日の関東大震災によって建物の8階以上が崩壊し、残りの部分も崩壊のおそれがあることから、陸軍の工兵隊により爆破解体されてその幕を閉じています。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

凌雲閣のエレベーターの技術水準・安全性の低さもあり、日本初の本格的な乗用エレベーター「日本銀行本店(日本橋)」に設置されたモノだとされているようです。こちらは、凌雲閣の完成から6年後の明治29年(1896年)に設置。地下から3階まで運転するOTIS(オーチス)のエレベーターでした。ちなみに、凌雲閣は『鬼滅の刃 浅草編』にも描かれています

凌雲閣があった場所はどこ?

浅草凌雲閣記念碑02
▲浅草凌雲閣記念碑

凌雲閣が建っていたのは、浅草寺から少し西の「浅草花やしき」の近くです。凌雲閣があった場所には「浅草凌雲閣記念碑」のほか、2018年2月の工事中に発見された土台のレンガが展示されています(Googleマップ)

ちなみに、浅草花やしきが誕生したのは、凌雲閣の完成よりさらに昔の江戸時代(嘉永6年/1853年)のこと。もともとは牡丹と菊細工がメインの「花園(かえん)」だったそうですよ。

現存する日本最古のエレベーターはどこにある?

東華菜館本店(現存する日本最古のエレベーター)01
▲東華菜館本店(京都市下京区)。上の塔がエレベーターのマシンルームになっており、中に昇降機が格納されています

現存する日本最古のエレベーターとされているのは、京都・四条大橋の北京料理店「東華菜館本店」のエレベーターです(Googleマップ)

大正13年(1924年)にアメリカで製造、輸入されたオーチス製のエレベーターで、格子形&蛇腹(ジャバラ)式の内扉や、時計針式のフロアインジケーターなど珍しい器具が備わっています。

昇降は運転手さんによる手動式で、エレベーターの見学を兼ねて食事に来る人もいるんだとか(見学のみの来店は不可)。夏季には鴨川納涼床もありますよ。


▲日本最古のエレベーターを見たことはありますか? via 京都エレベータ株式会社

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

上の動画では、実際にエレベーターが動く様子を見ることができます。運転手さんがレバーを操作してエレベーターを動かしたり停めたりする場面は、まるで駅のホームにぴったり列車を停める「電車の運転手さん」のようです!

【雑学クイズ】エレベーターの定員の基準体重は?

エレベーターの定員の基準となる体重は何キログラム(エレベーターの日雑学クイズ)01

最後にエレベーターに関する雑学クイズです。
建築基準法施工令によると、エレベーターの定員の基準となる体重は何kgでしょう? 次の3つのうち、正しいものをお選びください。

  1. 65kg(65キログラム)
  2. 80kg(80キログラム)
  3. 95kg(95キログラム)

答え



正解は「1. 65kg(65キログラム)」です。

建築基準法施工令(第129条の6)で、エレベーターの最大定員は「一人当たりの体重を65kg」として計算することが示されています。

日本人の16歳以上の平均体重は、男性が64.0kgで女性が52.7kg。また、同法(第129条の10)で「積載荷重の110%を超えた場合には、警報を発してドアが閉まらないようにする」といった旨が定められていることを考えれば「65kg」は妥当な気がしますね。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

最後までご覧いただきありがとうございます。ちなみに、日本エレベーター協会によると、2023年3月末現在で稼働しているエレベーターの数は約78万台だそう。これは2021年にローソンストア100で売れた「VLロングインナーパン(たまご)」の数と同じです!(比較対象がメチャクチャ←)

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