飛行機のライト兄弟と聞くと、あたかも2人兄弟だったかのように思われがち。しかし、ライト兄弟が育ったライト家には、ほかにも子供がいました。

続柄名前性別生没年
長男ルクラン・ライト1861-1920
次男ローリン・ライト1862-1939
三男ウィルバー・ライト
(ライト兄弟の兄)
1867-1912
オーティス・ライト1870
アイダ・ライト1870
四男オーヴィル・ライト
(ライト兄弟の弟)
1871-1948
長女キャサリン・ライト1874-1929

太字で示したのが、人類初の有人動力飛行に成功したライト兄弟です。ライト兄弟は「5人兄弟」、もしくは生まれてすぐに亡くなった2人(双子だったようです)を合わせて「7人兄弟」ということになります。

ライト兄弟(ウィルバー・ライトとオーヴィル・ライト)
▲ライト兄弟(左が兄ウィルバー、右が弟オーヴィル)


ライト兄弟とライト一家

ライト兄弟の家(オハイオ州デイトン ホーソン通り7番)
▲ライト家(オハイオ州デイトン)

ライト兄弟の家は、アメリカ・オハイオ州のデイトンにありました。長男のルクランと次男のローリンは、結婚して家を出たため、ライト兄弟と妹のキャサリンが、両親とともにここで長く暮らすことになります。

続柄名前生没年
ミルトン・ライト1828-1917
スーザン・ライト1831-1889

ライト兄弟の父親・ミルトンは牧師として各地を巡回する生活を送っていました。ある日、父親がおみやげに買ってきた小さなおもちゃのヘリコプターが、ライト兄弟が空への憧れを抱くようになったきっかけとも言われています。

いっぽう、母親・スーザンは馬車製造業を営むドイツ人一家の家庭に生まれたからか、おもちゃ作りが得意でした。売り物と変わらないレベルでソリを作っていたりしたそうです。ライト兄弟の機械いじりの才能は、母親から受け継いだものだと言えるでしょう。

子供のころのライト兄弟
▲子供の頃のライト兄弟(左が兄ウィルバー、右が弟オーヴィル)

妹キャサリンがライト兄弟を支える

母親・スーザンは、ライト兄弟がそれぞれ22歳、18歳のときに結核で亡くなりました。母親が亡くなってからは妹・キャサリンが、ライト家の家事全般をこなします。

キャサリン・ライト(1898年オベリン大学卒業時)
▲ライト兄弟の妹・キャサリン

ライト兄弟の飛行機作りを身近で支えたのもキャサリンでした。キャサリンはオーバリン大学(オベリン大学)を卒業後、高校教師を続けながら兄弟を支えたそうです。余談ですが、キャサリンの母校・オーバリン大学は、桜美林大学の名前の由来に関係しています。

またキャサリンは、ライト兄弟の操縦する飛行機に乗って空を飛んでいます。キャサリンの初めての飛行は、ライト兄弟の初飛行成功から6年後となる1909年のことでした。

ライトフライヤー号に乗り込む、ライト兄弟の兄ウィルバーと妹キャサリン
▲飛行機に乗り込むキャサリン(左)と、ライト兄弟の兄ウィルバー(右)

ライト兄弟は生涯独身

ライト兄弟の2人は生涯独身でした。一説によると、ライト兄弟は求愛をした経験すらなかったと言われています。ちなみに、ライト兄弟の兄ウィルバーは45歳のとき腸チフスで。弟オーヴィルは76歳のとき心臓麻痺で亡くなりました。

ライト兄弟の弟オーヴィル・ライト(1928年)
▲57歳頃のライト兄弟の弟オーヴィル

ライト兄弟の兄・ウィルバーは「人生で成功する秘訣は、よき父とよき母を選び、オハイオで人生を始めることだ」といった言葉を残していますが、自らが父親になることはなかったようです。

>>[関連]ライト兄弟の初飛行!操縦したのはどっち?

参考文献

  • デヴィッド・マカルー『ライト兄弟 イノベーション・マインドの力』秋山勝訳、草思社、2017年、ISBN978-4-7942-2278-7
  • たかはしまもる『ライト兄弟 コミック版 世界の伝記23』ポプラ社、2012年、ISBN978-4-591-13104-6
  • Timothy R. Gaffney『The Dayton Flight Factory The Wright Brothers & the Birth of Aviation』Arcadia Publishing、2014年、ISBN978-1540209627

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