8月14日は専売特許の日です。1885年(明治18年)のこの日、日本初の専売特許が交付されたことに由来します。専売特許第1号は、堀田ほった瑞松ずいしょうのサビ止め塗料とその塗り方でした(堀田鑛止塗料及ビ其塗法)。

今回は、そんな専売特許第1号&堀田瑞松について楽しく学べるクイズをご用意しました。問題は全部で2問。全問正解目指してレッツトライ!


【Q.1】堀田瑞松はもともと何の人?

専売特許第1号取得者として、歴史に名を残す堀田瑞松。では、堀田瑞松はもともとどんな分野で活躍していた人でしょう? 次の3つからお選びください。

  1. シェフ
  2. 彫刻家
  3. 海軍士官

答え



正解は「2.彫刻家」です。堀田瑞松は1837年(天保8年)に、刀の鞘塗師さやぬりしの家に生まれました。瑞松は鞘塗技術を体得したのち、彫刻の分野にも手を伸ばします。
1865年には孝明天皇の特命を受けて水晶宝珠の檀座を彫刻し、天皇を大変に喜ばせました。瑞松の「瑞」の字はこのとき賜ったものです。

その後も瑞松は、明治天皇愛用の書棚に彫刻を施すなど、彫刻家として活躍。加えて漆器の制作も始め、こちらでも頭角を現します。
瑞松は漆工芸家として活動する中で、漆にサビを防ぐ機能があることを知っていました。これが前述の専売特許につながっていくのです。

【Q.2】専売特許第1号の用途は?

堀田瑞松の専売特許(サビ止め塗料とその塗り方)は、「あるもの」への使用を念頭に発明されました。では、その「あるもの」とは次のうちどれでしょう?

  1. 船(ふね)
  2. 貨幣(かへい)
  3. 包丁(ほうちょう)

答え



正解は「1.船(ふね)」です。堀田瑞松の専売特許は、船の底のサビを防ぐ塗料(船底防錆塗料)として発明されました。

瑞松による塗料発明以前の船舶は、海水で船底が侵食されるため、6ヶ月ごとに塗装し直す必要がありました。「この周期を延長できれば国家・世界レベルで大きな利益になる」という話を聞いた瑞松は、漆を主成分とする塗料の研究に着手。見事に専売特許を取得したのです。

瑞松は専売特許取得後も改良を進め、その塗料は日本の軍艦のみならず、ロシアの軍艦にも採用されるようになりました。造船事情の視察で渡米した際には、ガス会社のタンク用鉄材などにも塗装を行なったそうですよ。

【補足】専売特許とは

専売特許(せんばいとっきょ)とは、特許の古い呼び方です。1885年(明治18年)4月18日に公布された「専売特許条例」に由来します。

専売特許条例は1888年に「特許条例」と改められたため、「専売」の文字はわずか3年で消えました。しかし「専売特許」という言葉は、今も比喩表現として広く使われています。

比喩としての専売特許
意味ある人が得意とする技術や方法。十八番(おはこ)
例文・使い方
  1. 独特なハイトーンボイスは、X JAPAN TOSHIの専売特許だ
  2. 重大事件が起きても番組編成を変えない姿勢は、テレビ東京の専売特許だ
  3. 簡単なシュートを見事に外すのは、あのサッカー選手の専売特許だ

※本来の意味である「得意」から派生して、「特徴(例文2.)」や「ネガティブ(同3.)」のような意味で使われることもあります

なお、専売特許条例が交付された「4月18日」は、経済産業省によって「発明の日」と定められています。

【さいごに】専売特許で大金持ち!と思いきや…

最後までご覧いただきありがとうございます。専売特許第1号となった堀田瑞松。専売特許取得後は、大金を手にしてウハウハ…と思いきや、意外にも経営はひっ迫したそう。
一度サビ止め塗料を塗ると、その機能性の高さから長期間にわたり仕事が来なくなることも理由だったようです。たしかに…!

それでも、堀田瑞松の塗料開発への想いは息子の堀田賢三にバトンタッチされ、その後は1912年(大正元年)開設の「日本漆業研究所」へ。さらに1915年開設の「研光社」を経て、現在の日本化工塗料株式会社へと受け継がれています。

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参考URL・参考書籍


今回のページ作成にあたり、書籍『すごいぞ!はたらく知財』を読みました。無味乾燥な解説ではなく、各分野で活躍されている方の知的財産権に関する考え方が書かれており(文学の谷川俊太郎さんや、舞台の草刈民代さんなど)、スッと頭に入りやすいです。