十種競技とは、2日間で合計10種目を行ない、それぞれの記録を得点に換算して、その合計得点を競う陸上の混成競技です。
「走る・跳ぶ・投げる」の要素がすべて詰まっているため、優勝者は「キング・オブ・アスリート」と呼ばれます。

このページにはおもに初めてテレビ観戦する人に向けて、十種じっしゅ競技で行われる種目とその順番や、得点の計算方法、世界/日本記録などをまとめておきますね。

このページのおもな内容
  • 十種競技の種目と順番
  • 得点の計算方法
  • 世界記録と日本記録
  • 武井壮さんの日本選手権優勝時の記録
  • 十種競技ならではのルール


十種競技の種目と順番

十種競技はオリンピックを含め、原則的に以下の競技日程・順番で行われます。

1日目
順番種目分類
1100メートル走短距離走
2走り幅跳び跳躍
3砲丸投げ投てき
4走り高跳び跳躍
5400メートル走短距離走
2日目
順番種目分類
6110mハードルハードル
7円盤投げ投てき
8棒高跳び跳躍
9やり投げ投てき
101500メートル走中・長距離走

競技によって使う筋肉が異なり、トレーニング方法も変わるため、すべての種目でトップの成績をおさめるのは至難の業。
選手によって、短距離走が得意な「スピード系」、跳躍が得意な「ジャンプ系」、投てきが得意な「パワー系」と分かれることもしばしばです。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

アスリートの体格を見て「この選手はゴツいからパワー系かな…」などと予想するのも楽しいですよ(そしてその予想がイイ意味で裏切られるのも楽しい)

十種競技の計算方法

各種目の得点は次の数式によって求められます。それぞれの数式の変数(Tなど)に記録の数値を代入して計算する流れです。

種目数式単位
100m走25.4347×(18-T)1.81
走り幅跳び0.14354×(d-220)1.4cm
砲丸投げ51.39×(D-1.5)1.05m
走り高跳び0.8465×(d-75)1.42cm
400m走1.53775×(82-T)1.81
110mハードル5.74352×(28.5-T)1.92
円盤投げ12.91×(D-4)1.1m
棒高跳び0.2797×(d-100)1.35cm
やり投げ10.14×(D-7)1.08m
1500m走0.03768×(480-T)1.85

※計算式・採点法は変更される場合があります

走る種目には「秒単位」、跳ぶ種目には「cm単位」、投げる種目には「m単位」の数値を代入して計算します。数式を見ると、小数点以下第5位まで登場していますね。細かい…!

なお、世界レベルで戦うためには、10種目の合計点数が8000点を超えるのが1つのめやす。東京オリンピックの参加標準記録は8350点で、金メダルを獲得したダミアン・ワーナー(カナダ)の記録は9018点でした。


▲世界陸上ドーハ2019十種競技ダイジェスト。このときワーナーは8529点で銅メダル。日本の右代選手は7545点でした

十種競技の見どころ

十種競技最大のハイライトを1つあげるなら、やはり2日目のラストを飾る1500m走です。
最終順位が決まるのに加え、疲労MAXの極限状態の中で戦う選手の姿には、観ていて感動を覚えざるを得ません。

2日間ともに戦ってきたアスリート達にも自然と連帯感が生まれるようで、選手同士で涙を流しながら抱き合ったりするシーンも、ほかの競技と比べて多いように思えます。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

先ほどのツイート内動画でも競技終了後、選手たちが一列に並んで観客席に手をあげる姿が印象的でした。お互いライバルのはずなのに、まるでサッカーチームのようです

十種競技の世界記録と日本記録

点数名前
世界9126点ケビン・マイヤー
(フランス)
2018年
日本8308点右代啓祐2014年

十種競技の世界記録と日本記録です。
1997年(平成9年)の第81回陸上日本選手権では、当時中央学院大学に所属していた武井壮さんが、7606点の記録で優勝しています。


▲武井壮classic 1997年日本選手権十種競技400m48”02 via YouTube 武井壮百獣の王国(第4レーン、上下黒のウェアが武井さん)

十種競技のルール

最後に十種競技ならではのおもなルールをあげておきます。短距離走のフライングに関するルールや、投てき競技・走り幅跳びの試技回数についての決まりなどです。

  • 短距離走(3種目)のフライングは、1回目では失格にならず、2回目以降は誰がフライングしても失格になる
  • 投てき種目と走り幅跳びの試技回数は3回まで(本来の種目は6回まで可能)
  • 途中1種目でも参加しなかった場合、その時点で次の競技に進むことができない(競技開始後の失格・途中棄権・記録なしは次に進める)

1種目を完全休養にあてて9種目に力を注ぐといった戦い方は不可能というわけですね。戦略的に体力を温存するにしても、各競技に参加したうえでのマネジメント能力が求められます。

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