8月17日はプロ野球ナイター記念日です。1948年(昭和23年)のこの日、日本プロ野球史上初の夜間の公式試合が、横浜ゲーリック球場(横浜スタジアム)で開催されました。
対戦カードは巨人-中日戦(読売ジャイアンツ対中日ドラゴンズ)。当時のポスターにはナイターではなく「ヨルの部」と書かれています。


初ナイターはハプニングの連続!

照明の明るさが現在の10分の1だったとも言われる初ナイターは、ハプニングの連続でした。いきなり初回、中日のピッチャー・星田次郎の投げたボールが見えず、巨人のバッター・青田昇の顔面付近に当たり、青田は担架で運ばれ退場。

試合終盤の8回には、巨人のバッター・川上哲治の打球が暗闇の右中間に飛んでいき、ホームランかエンタイトルツーベースかで大いに揉めました。
巨人のセカンドを守っていた千葉茂によると、外野には試合前の練習で拾い忘れたボールが3つも4つも転がっており、打球を追った外野手が面食らっていたそうです。

(左から)青田昇、川上哲治、千葉茂
▲(左から)青田昇、川上哲治、千葉茂 via Wikimedia Commons Unknown public domain

初ナイターは中日ドラゴンズの勝利

試合は3-2で中日の勝利。初回に担架で退場した青田昇は、この年全140試合に出場した記録が残っており、大事には至らなかったようです。
青田はこのシーズン、首位打者(.306)と本塁打王(25本。川上哲治と同数)の二冠に輝いています。

ちなみに、当時のプロ野球は1リーグ制で、この年の優勝チームは南海ホークス(今のソフトバンクホークス)。読売ジャイアンツは5ゲーム差の2位で、中日ドラゴンズは首位ホークスと34.5ゲーム差の最下位(8位)に終わっています。

チーム勝率
南海87494.640
巨人83552.6015.0
阪神70664.51517.0
阪急66686.49320.0
急映597011.45724.5
大陽61745.45225.5
金星60737.45125.5
中日52835.38534.5

※試合数は全球団140試合

【まとめ】試合開始は20時から

最後までご覧いただきありがとうございます。今回の内容をまとめておきますね。

  1. 8月17日は、プロ野球公式戦初のナイターが開催された「プロ野球ナイター記念日」
  2. 当時の照明の明るさは、現在の10分の1だったとも言われている
  3. 照明のせいか、顔面付近に死球を受けた選手が退場したり、ホームランかどうかで揉めたりとハプニングが続出した

記念すべき初ナイターの試合開始時間は午後8時8分。6時台の開始が多い現在と比べてかなり遅い時間です。
この理由には、アメリカでナイター経験のある、巨人・中島治康はるやすからの「夕暮れに照明を点灯すると、かえってボールが見づらい(だから完全に日が暮れてから試合をした方がよい)」という進言があったと言われています。

映画館の入場料40円のこの時代に、ナイターのチケット代は100円とかなり高め。それでも球場は「空前の超満員」で、観客席に入りきれず球場の外で観戦……ではなく、ファウルグランドで観戦(!)していた人もいたという証言が残されているそうです。

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