数字の単位・桁を一から漢字(日本語)で書いていくと、「一、十、百、千、万、億、兆…」と続きます。「兆(ちょう)」は、日本の国家予算や世界の軍事費のニュースなどでしばしば見かけますね。
そして、兆の上は「京(けい)」「垓(がい)」と続きます。「京」はかつての理化学研究所のスーパーコンピューター(スパコン)の名前になっていました。

スーパーコンピューター「京」01
▲スーパーコンピューター「京」 via Wikimedia Commons 0-0t CC BY-SA 3.0 (画像をトリミングしています)

では、さらにその上の大きい数字は何でしょう?「どこまであるの?」と疑問に思う人や「『無量大数』があるのは知ってるけど、無量大数の上の数字もあったりする?」と感じた人もいるかもしれませんね。このページで、数字の単位・桁の一覧表などを紹介していきます!


数字の単位・桁の早見表【読み方つき】

改算塵劫記01
▲『改算塵劫記』(国立科学博物館の展示)via Wikimedia Commons Momotarou2012 CC BY-SA 3.0(画像をトリミングしています)

ここで紹介するのは、日本における数詞を確立させた『塵劫記(じんこうき)』による数の呼び名です。一から無量大数まで全部で21あります。
『塵劫記』は、吉田光由みつよしによって著された江戸時代初期の算術書で、江戸時代を通じて多くの寺子屋で利用された数学書の大ベストセラーとされています。

単位・桁読み方値・数
いち10⁰
じゅう10¹
ひゃく10²
せん10³
まん10⁴
おく10⁸
ちょう10¹²
けい10¹⁶
がい10²⁰
抒(秭)じょ(し)10²⁴
じょう10²⁸
こう10³²
かん10³⁶
せい10⁴⁰
さい10⁴⁴
ごく10⁴⁸
恒河沙ごうがしゃ10⁵²
阿僧祇あそうぎ10⁵⁶
那由他なゆた10⁶⁰
不可思議ふかしぎ10⁶⁴
無量大数むりょうたいすう10⁶⁸

「恒河沙(ごうがしゃ)」「ガンジス川(恒河)の砂(沙)の数」を表す言葉です(ただし実際に計算して推定すると、ガンジス川の砂の数は「抒(じょ)」程度に収まるようです)。
また「那由他(なゆた)」は、兵庫県立西はりま天文台にある、日本国内最大の光学赤外線望遠鏡の名前になっています。

ガンジス川01
▲ヨガの聖地リシケーシュを流れるガンジス川 via Wikimedia Commons Tylersundance CC BY-SA 3.0 (画像をトリミングしています)

ちなみに、無量大数の0(ゼロ)の数は68個。実際に表記すると「100,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000」になります。スゴい…!

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

僕は中学生のときに数学のドリルに載っていたコラムで、これらの大きい数字があることを知りました。阿僧祇や不可思議など、漢字が三文字・四文字だとカッコ良くて逆に覚えやすいんですが、垓を超えたあたりからの漢字一文字の単位(とくに抒から載まで)が覚えるのに苦労した記憶があります。覚え方としては、九字護身法(りんぴょうとうしゃかいじんれつざいぜんのようにリズミカルに唱えて、地道に脳に染み込ませていくのがおすすめです!

無量大数より大きい数字【不可説不可説転】

西夏文字による華厳経01
▲西夏文字による華厳経

『塵劫記』における最大の数の呼び名は「無量大数」でしたが、大乗仏教の仏典の一つである『大方広仏華厳経』の巻四十五、阿僧祇品第三十には、さらに大きい数字が書かれています。長くなりますが、下に載せますね。「洛叉」から「不可説不可説転」まで全部で124あります。

単位・桁読み方値・数
洛叉らくしゃ105
倶胝くてい107
阿庾多あゆた107×2
那由他なゆた107×22
頻波羅びんばら107×23
矜羯羅こんがら107×24
阿伽羅あから107×25
最勝さいしょう107×26
摩婆羅まばら107×27
阿婆羅あばら107×28
多婆羅たばら107×29
界分かいぶん107×210
普摩ふま107×211
禰摩ねま107×212
阿婆鈐あばけん107×213
弥伽婆みかば107×214
毘攞伽びらか107×215
毘伽婆びかば107×216
僧羯邏摩そうがらま107×217
毘薩羅びさら107×218
毘贍婆びせんば107×219
毘盛伽びじょうが107×220
毘素陀びすだ107×221
毘婆訶びばか107×222
毘薄底びばてい107×223
毘佉擔びきゃたん107×224
称量しょうりょう107×225
一持いちじ107×226
異路いろ107×227
顛倒てんどう107×228
三末耶さんまや107×229
毘睹羅びとら107×230
奚婆羅けいばら107×231
伺察しさつ107×232
周広しゅうこう107×233
高出こうしゅつ107×234
最妙さいみょう107×235
泥羅婆ないらば107×236
訶理婆かりば107×237
一動いちどう107×238
訶理蒲かりぼ107×239
訶理三かりさん107×240
奚魯伽けいろか107×241
達攞歩陀たつらほだ107×242
訶魯那かろな107×243
摩魯陀まろだ107×244
懺慕陀ざんぼだ107×245
瑿攞陀えいらだ107×246
摩魯摩まろま107×247
調伏ちょうぶく107×248
離憍慢りきょうまん107×249
不動ふどう107×250
極量ごくりょう107×251
阿麼怛羅あまたら107×252
勃麼怛羅ぼまたら107×253
伽麼怛羅がまたら107×254
那麼怛羅なまたら107×255
奚麼怛羅けいまたら107×256
鞞麼怛羅べいまたら107×257
鉢羅麼怛羅はらまたら107×258
尸婆麼怛羅しばまたら107×259
翳羅えいら107×260
薜羅べいら107×261
諦羅たいら107×262
偈羅げら107×263
窣歩羅そほら107×264
泥羅ないら107×265
計羅けいら107×266
細羅さいら107×267
睥羅へいら107×268
謎羅めいら107×269
娑攞荼しゃらだ107×270
謎魯陀めいろだ107×271
契魯陀けいろだ107×272
摩睹羅まとら107×273
娑母羅しゃもら107×274
阿野娑あやしゃ107×275
迦麼羅かまら107×276
摩伽婆まかば107×277
阿怛羅あたら107×278
醯魯耶けいろや107×279
薜魯婆べいろば107×280
羯羅波からは107×281
訶婆婆かばば107×282
毘婆羅びばら107×283
那婆羅なばら107×284
摩攞羅まらら107×285
娑婆羅しゃばら107×286
迷攞普めいらふ107×287
者麼羅しゃまら107×288
駄麼羅だまら107×289
鉢攞麼陀はらまだ107×290
毘迦摩びかま107×291
烏波跋多うはばた107×292
演説えんぜつ107×293
無尽むじん107×294
出生しゅっしょう107×295
無我むが107×296
阿畔多あばんた107×297
青蓮華しょうれんげ107×298
鉢頭摩はどま107×299
僧祇そうぎ107×2100
しゅ107×2101
107×2102
阿僧祇あそうぎ107×2103
阿僧祇転あそうぎてん107×2104
無量むりょう107×2105
無量転むりょうてん107×2106
無辺むへん107×2107
無辺転むへんてん107×2108
無等むとう107×2109
無等転むとうてん107×2110
不可数ふかすう107×2111
不可数転ふかすうてん107×2112
不可称ふかしょう107×2113
不可称転ふかしょうてん107×2114
不可思ふかし107×2115
不可思転ふかしてん107×2116
不可量ふかりょう107×2117
不可量転ふかりょうてん107×2118
不可説ふかせつ107×2119
不可説転ふかせつてん107×2120
不可説不可説ふかせつふかせつ107×2121
不可説不可説転ふかせつ
ふかせつてん
107×2122

『塵劫記』にも出てきた「那由他」「阿僧祇」は、こちらでは大きさの定義が異なるようです。「僧羯邏摩」「尸婆麼怛羅」など、異国の仏教っぽい命数もあれば、「演説」「出生」など、なじみのある言葉の命数もあって面白いですね。

英語での大きい数の表し方【グーゴル】

グーゴル(Googol)01

英語での大きな桁の名前も見てみましょう。有名なのは10の100乗を表す「グーゴル(googol)」ですね。「グーグル(Google)」の社名の由来となった数です(一説には、グーグルはグーゴルのスペルミスから生まれたと言われています)。

英語の名称値・数
one1
hundred102
thousand103
million106
billion109
trillion1012
quadrillion1015
quintillion1018
sextillion1021
septillion1024
octillion1027
nonillion1030
decillion1033
undecillion1036
duodecillion1039
tredecillion1042
quattuordecillion1045
quindecillion1048
sexdecillion1051
septendecillion1054
octodecillion1057
novemdecillion1060
vigintillion1063
unvigintillion1066
duovigintillion1069
tresvigintillion1072
vigintionillion1090
trigintillion1093
duotrigintillion1099
googol10100
trestrigintillion10102
quadragintillion10123
quinto-quadragintillion10138
sexoctogintillion10261
centillion10303
duocentillion10309
trecentillion10312
centumsedecillion10351
primo-vigesimo-centillion10366
trestrigintacentillion10402
ducentillion10603
septenducentillion10624
trecentillion10903
sexoctingentillion102421
millillion103003
milli-millillion103000003

「million(100万)」からは、グーゴルをのぞいて語尾が「-illion」になっています。ロックバンド・RADWIMPSの野田洋次郎さんのソロプロジェクトの名前も「illion(イリオン)」でしたね。

なお、ここからさらに大きい数を作ることも可能で、例えば10を「グーゴル乗」すると「グーゴルプレックス(10googol)」に。10を「グーゴルプレックス乗」すると「グーゴルプレックスプレックス(1010googol)」になります。そして、このプロセスは無限回繰り返すことができます(そこに意味はあるんか?)。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

アメリカ・カリフォルニアにあるグーグル本社ビルの愛称「Googleplex(グーグルプレックス)」は、「グーゴルプレックス」が由来です。遊び心を感じられて面白いですね!

Googleplexの中庭01
▲Googleplexの中庭 via Wikimedia Commons Sebastian Bergmann CC BY-SA 2.0(画像をトリミングしています)

小さい数の早見表【意外となじみがある!?】

藤崎台県営野球場スコアボード03
▲藤崎台県営野球場スコアボード。「打率2割9分7厘」です via Wikimedia Commons Sakuraikubuki CC BY-SA 3.0(画像を加工しています)

最後に小さい数を見て終わりにしましょう。こちらは「分」から「浄」まで全部で23です。「分・厘・毛(あるいは糸)」までは、野球の打率などで聞いたことがある人も多いのでは?

単位読み方値・数
10-1
厘(釐)りん10-2
毛(毫)もう10-3
糸(絲)10-4
こつ10-5
10-6
せん10-7
しゃ10-8
じん10-9
あい10-10
びょう10-11
ばく10-12
模糊もこ10-13
逡巡しゅんじゅん10-14
須臾しゅゆ10-15
瞬息しゅんそく10-16
弾指だんし10-17
刹那せつな10-18
六徳りっとく10-19
10-20
くう10-21
せい10-22
じょう10-23

単位(数の名前)としては馴染みがなくても、「塵」「埃」はなんとなく小さいイメージがありますし(「埃」は「ほこり」を表す漢字です)、「刹那」「須臾」「わずかな時間」という意味の言葉で目にしたことがあるかもしれませんね。
個人的には「模糊(もこ)」の語感がかわいいのでお気に入りです。曖昧模糊模糊♡

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