11月30日は「絵本の日」です。
「医療法人元気が湧く」が運営する「絵本と図鑑の親子ライブラリー ビブリオ」によって平成24年(2012年)に制定されました。

日付の由来は『ナルニア国物語』や『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』の翻訳者として知られる児童文学作家・瀬田貞二が、絵本の世界に大きな影響を与えた著書『絵本論』を出版した日から(初版1985年11月30日)。

▲瀬田貞二『絵本論』。日本の絵本に関する基本的な考え方を最初に示したといわれる本です

こどもを育む「絵本のチカラ」を教育的・文化的・社会的に広げる活動の機会創出と活性化が目的で、この時期には抽選で絵本グッズが当たる「絵本の日 プレゼントキャンペーン」(主催:NPO法人絵本文化推進協会/親子の時間研究所)が開催されます。


▲絵本グッズが当たるプレゼントキャンペーン(2023年)


絵本と図鑑の親子ライブラリー ビブリオとは?

「絵本と図鑑の親子ライブラリー ビブリオ」は福岡市南区にある3つの施設の総称です。
「絵本と図鑑の図書館 ビブリオキッズ」には、絵本18,000冊、図鑑1,500冊、外国の絵本500冊の合計20,000冊の本があり、自宅さながらの環境で親子・兄弟姉妹でくつろぐことができます。コーヒーやクッキーもありますよ。


▲おはなし会の様子 via ビブリオキッズ公式Instagram

このほか、お母さんと赤ちゃんの専用スペース「ビブリオベイビー」や、さまざまなイベント・ギャラリーが行なわれる多目的スペース「ビブリオラボ」といった施設もあります。
同じフロアには「医療法人元気が湧く」の「こども歯科」があり、ビブリオは子どもの育ちを支援する医療の骨子の1つとして、歯科医院から派生する形で誕生したようです。

絵本と図鑑の図書館 ビブリオキッズ
住所福岡市南区大橋3-2-1 大橋プラザ2F
(Googleマップ)
電話092-557-3272
アクセス西鉄大橋駅 西口から徒歩5分
開館時間9:00~18:00
休館日毎週木曜・祝日
備考
  • 入会登録料 1家族500円
  • 本の貸出サービスなし
リンクビブリオ(Biblio)公式サイト

瀬田貞二(せた・ていじ)とは?

瀬田貞二(1916-1979)は、東京都文京区湯島生まれ、東京帝国大学(現在の東京大学)文学部卒業の児童文学作家・翻訳家です。
大学卒業後は『児童百科事典』(平凡社)の企画編集に携わり、絵本・児童文学の評論、翻訳、創作で活躍しました。


▲三びきのやぎのがらがらどん(マーシャ・ブラウン絵、せたていじ訳) via Amazon

有名な翻訳作品には『三びきのやぎのがらがらどん』『ナルニア国物語』『ホビットの冒険』などが。創作作品には『きょうはなんのひ?』『お父さんのラッパばなし』などがあります。あなたも小さい頃に読んだ(読んでもらった)本があるかもしれませんね。

子どもを静かなところにさそいこんで、ゆっくり深々と、楽しくおもしろく美しく、いくどでも聞きたくなるようなすばらしい語り手を、私たちは絵本とよびましょう。

瀬田貞二著. 『絵本論 -瀬田貞二子どもの本評論集-』 福音館書店, 1985, p.43

そして「絵本の日」の由来となった『絵本論』は、子供たちによい絵本を読んでほしいという願いと、子供たちにとってあるべき絵本・物語を求め続けた瀬田貞二の集大成。子どもに関わる全ての人の必読書と銘打たれています。

『絵本論』はページ数570ページと、決してサクッと読める本ではありませんが、多くの図書館が所蔵する単行本です。子供の絵本を借りに行ったときに、一度手に取ってみるのも良いかもしれません。

瀬田貞二『絵本論』02
▲僕も図書館で借りて読みました。面白いです
瀬田貞二のおもな作品
  • 翻訳
    • 『指輪物語』(J.R.R.トールキン,評論社)
    • 『ロバのシルベスターとまほうの小石』(ウィリアム・スタイグ,評論社)
    • 『おやすみなさい おつきさま』マーガレット・ワイズ・ブラウン,評論社)
    • 『名馬キャリコ』(バージニア・リー・バートン,岩波書店)
    • 『よあけ』(ユリー・シュルヴィッツ,福音館書店)
    • 『おだんごぱん』(ロシアの昔話,福音館書店)
    • 『アンガスとあひる』(マージョリー・フラック,福音館書店)
    • 『げんきなマドレーヌ』(ルドウィッヒ・ベーメルマンス,福音館書店)
    • 『おおかみと七ひきのこやぎ』(グリム,福音館書店)
  • 創作
    • 『お父さんのラッパばなし』(福音館書店)
    • 『きょうはなんのひ?』(福音館書店)
  • 再話
    • 『かさじぞう』(福音館書店)
    • 『ふるやのもり』(福音館書店)
    • 『おんちょろちょろ』(福音館書店)
  • その他
    • 『落穂ひろい』(福音館書店)
    • 『絵本論 -瀬田貞二子どもの本評論集-』(福音館書店)
    • 『児童文学論(上下巻)-瀬田貞二子どもの本評論集-』(福音館書店)

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