8月23日は油の日です。貞観元年(859年)のこの日、日本の製油発祥の地とされる油祖・離宮八幡宮が、今の京都府大山崎町に建立されたことに由来します。

油の日は離宮八幡宮と、金田油店(明治3年草創)をグループに持つカネダ株式会社が共同で制定しました。日本記念日協会の認定記念日です。

今回はそんな油の日について楽しく学ぶことを目的に、以下の2本立てでお届けします。

  • 【油の神様】離宮八幡宮のスゴい発明
  • えごま油の「えごま」ってなに?

さっそく一緒に見ていきましょう!


【油の神様】離宮八幡宮のスゴい発明

貞観年間(859-877年)、離宮八幡宮の神官が、えごまから油を搾り取る道具「長木(ながき)」を発明し、えごま油の製油を始めました。

てこの原理を応用した長木は、搾油能力が大変優れており、全国にこの搾油技術が広まっていきます。離宮八幡宮は朝廷から「油祖」の名を賜り、油の専売特許を持ち大いに栄えたそうです。

諸国の油商人は、離宮八幡宮の許状なしには油を取り扱うことができなかったんだとか。離宮八幡宮は今も「油の神様」として親しまれ、油の日には、金田油店のえごま油が頒布されています。

離宮八幡宮(京都府大山崎町)拝殿
▲離宮八幡宮 拝殿 via Wikimedia Commons 663highland CC BY 2.5 (加工済)

ちなみに、離宮八幡宮は石清水八幡宮の元社です。離宮八幡宮という社名は、嵯峨天皇の離宮跡(河陽宮)に神社を建立したことから名付けられました。

えごま油の「えごま」ってなに?

ここでクイズです。油の日と関係の深いえごま油は「荏胡麻(えごま)」の種子を搾って作られる植物油です。
では、荏胡麻は何科の植物でしょう? 次の3つの中から正しいものをお選びください。

  1. ゴマ科
  2. シソ科
  3. アブラナ科

答え



正解は「2.シソ科」です。荏胡麻はシソ科の一年草で、シソとは変種の関係にあります。お前、ゴマ科じゃなかったのか…!

えごま油はオメガ3系脂肪酸「α-リノレン酸」を豊富に含むことから、アマニ油などとともに健康食品として有名です。α-リノレン酸には、循環器系疾患の予防効果があるとされています。

荏胡麻(シソ科エゴマ)
▲エゴマ via Wikimedia Commons Uncle Carl CC BY-SA 3.0 (トリミング済)

荏胡麻は古くは「荏(え)」と呼ばれ、日本各地で栽培されていました。とくに関東で盛んだったようで、品川区の地名「荏原」は、荏胡麻と関係があると言われているようです。

なお、誤答選択肢「1.ゴマ科」のゴマからは、名前のとおりゴマ油が。「3.アブラナ科」のアブラナの種子からは菜種油(ナタネ油)が作られます。

【まとめ】内容をおさらい!

最後までご覧いただきありがとうございます。おさらいとして、今回の内容をまとめておきますね。

  1. 8月23日は油の日。貞観元年8月23日に油祖・離宮八幡宮が建立されたのが由来
  2. 離宮八幡宮の神官が、えごま油を作る道具「長木(ながき)」を発明し、「油の神様」として親しまれるようになった
  3. えごま油の原料となる荏胡麻(エゴマ)は、ゴマ科ではなくシソ科の植物

油の日は、日常生活に必要なさまざまな油について考えるきっかけとなることを願って制定されました。食用油、ガソリン、石油……、あなたが思い浮かべる油はほかに何がありますか?

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