昭和4年(1929年)の今日、群馬県と新潟県の境、土合どあい駅~土樽つちたる駅間で、JR上越線の清水トンネルが貫通しました。全長(長さ)9,702メートルで、当時としては日本最長、世界でも第9位の長さを誇ったトンネルです。

清水トンネル01
▲今も現役の清水トンネル via Wikimedia Commons Nihongarden CC BY-SA 3.0(画像をトリミングしています)

ノーベル文学賞を日本人として初めて受賞した川端康成の小説『雪国』に「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という有名な書き出しがありますが、このトンネルは清水トンネルを指しています。上越線に乗って清水トンネルを通過するときに、ちょっとテンションが上がる鉄道ファン・文学ファンも多いのでは?

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

なお、今も現役の清水トンネルですが、現在は上り線(群馬県・高崎駅方面)専用となっています。清水トンネルの歴史について簡単に説明しますね!


清水トンネルの歴史は?

清水トンネルの完成まで

清水トンネルの工事は大正11年(1922年)から始まりました。工期はおよそ9年、当時の金額で約1,500万円(現在の価値に換算すると約150億円)の工事費を投じて、昭和6年(1931年)8月に完成、翌月9月1日に水上駅~越後湯沢駅間が開業して、上越線が全通しています。貫通してから完成するまでは、さらに約1年8ヶ月かかっているわけですね!


▲清水トンネルの周辺地図(Googleマップより)。名峰かつ魔の山として知られる谷川岳を盟主とする、谷川連峰の真下を貫いています

新清水トンネルの開通

開業後は上越国境を貫く唯一の鉄道トンネルとして人・モノの往来を一手に引き受けていた清水トンネル。しかし、単線(通っている線路が一本だけ)だったため交通量の大幅増加に対応するのが難しくなってしまいます。そこで、新しく建設されたのが今の新清水トンネル(全長13,490m)です。

新清水トンネル01
▲新清水トンネル(湯檜曽駅ホームから)via Wikimedia Commons Kouchiumi CC BY-SA 3.0(画像をトリミングしています)

新清水トンネルは、清水トンネル開業から36年後の昭和42年(1967年)9月に、下り線専用として開通しました。このときに清水トンネルが上り線専用になったのです。
ちなみに、新清水トンネルは途中で土合駅を通っており、土合駅の下り線ホームは「日本一のモグラ駅」として有名です。土合駅の駅舎と下り線ホームの標高差は約70mあり、462段の階段を上り下りする必要があるんです!

土合駅の階段01
▲土合駅の階段。エレベーターやエスカレーターは設置されておらず、改札まで約10分かけて移動します

大清水トンネルの開通

昭和55年(1980年)には、上越新幹線の大清水だいしみずトンネル(全長約22.2km)が完成し、ここに「清水トンネル三兄弟」が揃います(近くを通る関越自動車道の「関越トンネル」を合わせて4兄弟と言ってもいいかもしれません)。

大清水トンネル01
▲大清水トンネル(越後湯沢側坑口)via Wikimedia Commons 切干大根 CC BY-SA 4.0(画像をトリミングしています)

そうそう、大清水トンネルの掘削工事では地下水が偶然湧き出て、この地下水のおいしさが現場作業員の口コミで広がり、昭和59年(1984年)に『大清水(おおしみず)』という名前で一般販売されました。
さらに平成19年にはバージョンアップしたミネラルウォーター『From AQUA』が誕生。『From AQUA』は、現在もロングセラー商品として愛され続けています。水ゼリーがヒットしたのを覚えている人もいるのでは?

▲From AQUAは通販でも購入できます。販売を行っているacua(アキュア)はJR東日本の関連会社です

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。
このページの要点をまとめました。

  • 昭和4年(1929年)の今日、清水トンネルが貫通した
  • 昭和42年(1967年)9月には、新清水トンネルが開通。これにより清水トンネルは上り線専用になった
  • 昭和55年(1980年)には、上越新幹線の大清水トンネルが完成。清水トンネル三兄弟が揃うことに

冒頭で小説『雪国』の舞台が清水トンネルだとお伝えしましたが、今私たちが小説の光景により近いものを味わえるのは、車で関越トンネルを抜けた瞬間かもしれません。クルマのほうが前方の景色が見やすいですからね!

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