解熱剤の読み方(かいねつざい・げねつざい)01

風邪を引いたときなどに、お世話になった人も多いはずの「解熱剤」
読み間違いをしやすい漢字(熟語)ですが、正しい読み方は「かいねつざい」ではなく「げねつざい」です。

「解熱」の二文字でも「げねつ」と読みますし、インフルエンザの出席停止期間などで目にする機会のある「解熱後」も「げねつご」と読みます。
「解」という漢字を使った熟語に「解消(かいしょう)」や「解放(かいほう)」など、「かい」と読むものが多いのでややこしいですが、この機会にしっかり覚えておきたいですね!

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

とはいえ、子供はもちろん、大人でも「長い間『かいねつざい』だと思ってた…」という人は多いようです。これには何か理由があるのでしょうか? このページで、もう少しくわしく見ていきましょう!

※ちなみに「解」を「ゲ」と読む熟語には、解熱剤のほかに「解脱(げだつ)」や「解毒(げどく)」などがあります


「かいねつざい」と読んでしまう人が多いのはなぜ?

「解熱剤」を「かいねつざい」と読んでしまう人が多いのは、小学校で「解」という漢字を習うときに、「げ」という読み方を教わらないからだと思われます。
というのも、「解」は小学5年生で習う漢字なのですが、「げ」という読み方は高校で学習することになっているんですよね(漢検漢字辞典より)。
ですので、多くの人が小学校で習ったイメージのまま「解熱剤」を「かいねつざい」と読んでしまう。これが読み間違いが起きやすい原因なのだと思います。

漢字音読み・訓読み
[音] カイ(高)
[訓] く・かす・ける

▲『漢検漢字辞典』より抜粋。ほかに「ほどく・ほつれる・さとる・わかる」といった表外読みもあります

お医者さんも読み間違いをスルーする!?

なお、お医者さんの中には、患者さんが「かいねつざい」と言い間違いをしていても、あえて指摘・修正せずにスルーする人も多いようです。
読み方が違っていても、意味(言わんとすること)は充分に伝わりますし、あえて指摘する必要もないという考えかもしれませんね。

以前、元AKB48で女優の島崎遥香さんも「(解熱剤のことを)かいねつざいって読んでた」とSNSを更新し、それがニュースになったこともありました。
島崎さんの場合も、お医者さんはツッコまずにスルーしていたようです。「スルー=一種の優しさ」とも受け取れそうですよね。


▲島崎遥香さんの公式X(旧Twitter)より。こういう失敗(?)をオープンにしてくれると親近感が湧きますし、勉強にもなります

「下熱(げねつ)」という言葉はある?

ちなみに、島崎さんのポストの中に「下熱」という単語が登場していましたが、広辞苑にも「下熱(げねつ)」という見出し語は存在しています。「解熱」と並べたうえで、違いを見てみましょう。

解熱と下熱の違い

  • 下熱(げねつ)…高熱だった体温がさがること
  • 解熱(げねつ)…高熱の体温をさげること

※広辞苑第七版より抜粋

どちらも「げねつ」と読み、似たような意味を持ちますが、「下熱」が自然治癒力などで体温が自然に下がった印象を受けるのに対し、「解熱」は薬などで半ば強制的に体温を下げている印象を受けるのではないでしょうか。勉強になります…!

とはいえ、日常生活の場面では、自然に熱が下がった場合でも「解熱」を用いるケースがほとんどで、「下熱」を使う機会は少ないのが現状のようです。「『下熱』という熟語もあるにはある」くらいの認識でいるのが、ちょうど良いのかもしれません。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。
このページの要点をまとめました。

  • 解熱剤は「かいねつざい」ではなく「げねつざい」と読むのが正解
  • とはいえ「げ」という読みは小学校では習わないので、読めなくてもしょうがない(?)。この機会に覚えよう!
  • 「下熱(げねつ)」という熟語もあるが、日常生活で使われる機会は少ない

そうそう、「そもそも熱冷まし(解熱剤)は、熱を『下』げる薬なのに、なぜ『解』を使うの?」と思った人もいるかもしれませんが、ここで使われている「解」には「なくす」という意味があるんです。ページの冒頭でチラッと紹介した「解毒(げどく)」と似たような使われ方ですね!

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