木へんに葉っぱの下の漢字「楪」は、訓読みでゆずりは、音読みでチョウなどと読みます。
ただし、漢検漢字辞典に載っていない漢字ということもあり(漢検配当外)、なかなか使われる機会はありません。ある意味で、漢検1級よりも難しい漢字かもしれません。
漢字 | 音読み・訓読み |
---|---|
楪 | [音] チョウ・チャ |
[訓] ゆずりは |
▲こちらは大修館書店『大漢語林』からの抜粋です
そして「楪」という漢字は、常緑高木の植物・ユズリハや、苗字(漢字一文字で「ゆずりは」)などに使われています。このページで一緒にくわしく見ていきましょう!
楪(ユズリハ)【ユズリハ科の常緑高木】
楪(ユズリハ)は、東北地方の南部以西の常緑樹林内に生育する、高さ10メートル、直径30センチほどの常緑高木です。上の画像をご覧のとおり、茨城県植物園(那珂市戸)にも立派なユズリハが生育していますね。
ただしユズリハは、漢字で書く場合は「楪」よりも「譲葉」と書くのが一般的です。というのも、ユズリハは春に枝先に新葉が上向きに出ると、前年の葉が「成長した子供にあとを譲る」ように落ちていくから。
これがずばり、ユズリハの名前の由来で、子孫繁栄を象徴する縁起の良い木とされており、葉っぱが正月飾り(鏡餅の飾りやしめ縄など)に用いられることもあるんですよ。
▲実際にユズリハが使われているお正月飾りを見つけました。橙(ダイダイ・ミカンのような実)の両脇に付いているのが、ユズリハの葉っぱです
「楪」が使われている苗字は?
苗字では、数こそ多くないものの、漢字一文字で「楪(ゆずりは)」と読む人がいらっしゃいます。
(このほか名字由来netでは、漢字一文字で楪[いずりは]と読んだり、楪葉[ゆずりは]、楪一[ゆずいち]といった名字が見つかります。)
有名人(名字を何らかの形で公開されている方)では、フリーアナウンサーの楪望(ゆずりは のぞみ)さんや、白鴎大学法学部教授の楪博行(ゆずりは ひろゆき)さんがいらっしゃいますよ。
地名では、山形県鶴岡市に楪(ゆずりは)という町名が存在します。鶴岡市の北端ともいえる場所に位置しており、京田川(きょうでんがわ)を挟んだ北側は、東田川郡庄内町です
▲山形県鶴岡市楪(ゆずりは)。郵便番号は999-7641です
まとめ【木へんに葉(草冠ありVer.)】
最後までご覧いただきありがとうございます。
このページの要点をまとめました。
- 木へんに葉の下の漢字「楪」は、ユズリハと読む
- ただし漢検配当外で、使われる機会は少ない
- ユズリハはユズリハ科の常緑高木で、正月飾りにも使われる縁起のよい木
- 漢字一文字で「楪(ゆずりは)」と読む名字や地名も存在する
ちなみに、木へんに葉(草冠のついたバージョン)の漢字「」も存在はしますが、機種依存文字(環境依存文字)に該当するため、楪以上に使う機会が少ないのが現状です。
もしかしたら、これをご覧になっていて、漢字が表示されていない人もいらっしゃるかもしれませんね(画像を挟んだ上の文章の「カッコ内」に漢字を入力しています)。
関連ページ▼
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参考書籍・参考URL
- 『漢検 漢字辞典 第二版』公益財団法人 日本漢字能力検定協会,2014
- 『大漢語林』大修館書店,1992
- ユズリハ – 林野庁 近畿中国森林管理局
- 名字由来net
- 楪望(@lnozomi1003l) – X(旧Twitter)
- 楪博行 – 白鴎大学
- 寺井泰明『「棡(杠)」「楪」と「ゆずりは」』桜美林論考. 人文研究, 巻5, p.39-57,2014 – 桜美林大学学術機関リポジトリ