「目をつぶる」と「目をつむる」の違いについて書きました。意味は「目を閉じる」。漢字だとどちらも「目を瞑る」ですね。
- 「つぶる」と「つむる」の違いを知りたい…
- 「つぶる(つむる)」の語源が気になる…
- 「つぶる」と「つむる」をオシャレに使い分けたい…
そんな方たちに向けて書いた記事です。参考にしたのは以下の文献。
そしてコレを書いているのは、以前まとめた記事で、
所要時間や料金などを比較できるイラスト図も作りましたので、(僕の絵心のなさには目を瞑ったうえで)参考にしてくださいね。
とタイピングしたときに、
と、ふと思ったのがキッカケです。それでは「つぶる」と「つむる」の違いから見ていきましょう。
「目をつぶる」と「目をつむる」の違い
「目をつぶる」と「目をつむる」に違いはありません。どちらも正解です。
試しに、手元の広辞苑でそれぞれの意味を調べてみるとこんな感じ。
つぶる【瞑る】
(目を)閉じる。つむる。つむる【瞑る】
「つぶる」に同じ。広辞苑 第七版
そして「言葉ジャンル」に関していえば、より権威性が高そうな「日本国語大辞典」を引いてみても…
つぶ・る【瞑】
目や口をふさぐ。閉じる。つむる。つむ・る【瞑】
①目をふさぐ。閉じる。つぶる。
②口を閉じる。つぐむ。日本国語大辞典 第二版 第九巻
ご覧のとおり、意味は同じです。ちなみに、こちらは図書館で調べました。図書館最高です。
しかし、言葉というのは調べれば調べるほど、そして想像を広げれば広げるほど面白みが増すというもの。
そこで、続いては「瞑る」の語源を調べてみることにしました。
「瞑る(つぶる・つむる)」の語源
瞑るの語源は、推測を含みますが「潰れる」です。
解説します。語源分野で権威性の高そうな文献といえば日本語源大辞典ですが、その中に「瞑る」という項目は見当たらず。
しかし「潰れる」という単語の終止形が、昔「潰る(つぶる)」だったことから、「瞑る」もこの流れを汲んでいることは容易に想像できます。
ということで、日本語源大辞典の「潰れる」を引いてみると…
つぶ・れる【潰れる】
①角がとれて丸みを帯びる。まるくなる。角がすりへる。
②力が加わって原型を失う。その結果、役に立たなくなる。[語源説]
①ツブ(粒)と同根
こういった記載があります。なるほどですね。
これらをつなぎ合わせると「瞑る(つぶる・つむる)」の語源について、以下のような推測が成り立ちます。
- 粒(つぶ)=丸いもの↓
- 潰る(つぶる)=(角のあるものが)丸くなる↓
- (さらに力が加わり)原型を失う↓
- 目って丸いよね。目を閉じると丸くなくなるよね↓
- 瞑る(つぶる)が生まれる↓
- 派生して瞑る(つむる)も誕生
かなり自然な流れだと思うのですが、いかがでしょうか。
なお思考を整理するにあたり、以下のヤフー知恵袋のベストアンサーは非常に参考になりました。興味のある方はぜひどうぞ。
そして、「つぶる」と「つむる」が同じ意味だと分かっていても、格好良く使い分けたいと思うのが人の性(さが)。
ということで最後に、「つぶる」と「つむる」のスマートな使い分け方を、例文ともに紹介しますね。
「つぶる」と「つむる」の使い分け
■ “つぶる”と”つむる”の使い分け
- つぶる:意志や動きが「強い」ときに用いる
- つむる:意志や動きが「弱い(やさしい)」ときに用いる
「つぶる」の「ぶ(bu)」は破裂音。聞く人に「強い」イメージを抱かせます。ですので、
- 部下の失敗には腹が立ったが、コレも成長の機会だと思い、グッと堪えて目をつぶることにした
- 隣のビルから爆発音がしたため、思わず目をつぶった
- (シンプルに)ギュッと目をつぶる
といった感じで、強い意志や動きを表したい場合には「つぶる」を使うのがおすすめ。
いっぽう「つむる」の「m(u)」は鼻音で、どちらかというと優しいイメージ。なので、
- 新入社員の彼女はドジが多いけれど、しばらくは目をつむって優しく見守ろう
- そよ風が心地よく、私は芝生の上に寝転がって目をつむった
- (シンプルに)そっと目をつむる
といった感じで、弱い(やさしい)意志や動きを表したい場合にチョイスすると、しっくりくるのではと思います。
もちろん、どちらを使っても決して間違いではありませんので、ご参考までに。
記事のまとめと、未来予測します!
まとめ&「つぶる・つむる」の未来予測
まとめに代えて、記事の内容をギュッと凝縮した、僕(なごやっくす)のツイートを貼り付けておきます。
「目をつぶる」と「目をつむる」
・どちらも意味は"目を閉じる"
・語源はおそらく「潰れる」[語源~現在(推測含む)]
1 粒(つぶ・丸い)
2 潰れる(角が取れ丸くなる)
3 (意味が派生し)原型を失う
4 目は丸い。目を閉じると丸くなくなる
5 瞑る(つぶる)が生まれる
6 さらに派生し瞑る(つむる)も誕生— なごやっくす@教えたがりダッシュ! (@oshietagaridash) 2018年12月19日
そして将来的には「つむる」のほうが「つぶる」よりも広く一般的に使われる予感。理由は以下の2つです。
- 発音がラク
- スマホ入力が簡単
ネットが発達し、コミュニケーションの場もリアルからSNSに移行してます。喋らなくても人とやり取りできてしまうのです。
で、いざリアルで発音するとなったとき、「つぶる」と「つむる」では後者のほうが消費エネルギーが少ないはず。微々たるものだけど。コレが1つ目の理由。
そして2つ目の理由もネット化関連。「つぶる」の「ぶ」は「ふ+゛(濁点)」と、スマホで二段階の入力が必要。
ですが「つむる」の「む」は一発でOK。こういった細かいところから、言葉は変化していくのではないでしょうか。
…ふぅ。しかし、言葉や語源に関する話題は書いていて楽しい反面、文献をあたるのがちょっと大変だ(笑)
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