「貸す」と「借りる」は、日本人だけでなく、日本語を勉強している海外の人たちもつまずくことの多い、複雑な日本語の1つです。
両者の意味の違いがイマイチ分からないまま、なんとなくの感覚(フィーリング)で使い分けている人も、きっと多いのではないでしょうか。

そこでこのページでは、「貸す」と「借りる」の違いや覚え方について、イラストなどを用いてわかりやすく説明していきます。今、分からなくても大丈夫です。一緒に勉強を進めていきましょう!


「貸す」と「借りる」の違いは?

「貸す」は、あとから返してもらう約束で、一時的に他人にモノ・お金・場所などを渡したり、使わせたりすること。
「借りる」は、他人のモノ・お金・場所などを、あとで返す約束で、一時的に使うことを意味する言葉です。

貸すと借りるの違い

  • 貸す…一時的に他人にモノを渡したり、使わせたりする
  • 借りる…他人のモノをあとで返す約束で、一時的に使う

イラストでも見てみましょう。下の画像では、本の貸し借りを例にとって、貸すと借りるの違いを、イラストと例文で説明しています。

貸すと借りるの違い(イラスト)05
▲貸すと借りるの違いを、イラストで見るとこんな感じ

1.のように、自分の本をあとから返してもらう約束で、一時的に相手に渡すときは「自分(私)は、相手に本を貸す。」といった例文(使い方・用法)に。
2.のように、相手の本をあとで返す約束で、一時的に使わせてもらうときは「自分(私)は、相手から本を借りる。」といった文章になっていますね。

これをもとに、貸すと借りるの覚え方を見てみると…

「貸す」と「借りる」の覚え方は?

先ほどのイラストをもう一度見てみましょう。自分の場所と矢印の向きに注目してください。

貸すと借りるの違い(イラスト)06
▲自分の場所と矢印の向きに注目

1.のイラストでは、本が自分から相手に向かって遠ざかっているのに対し、2.のイラストでは、本が相手から自分に向かって近づいてきています。
これがズバリ覚え方のポイント。つまり、自分(主語)の立場から見たときに、モノが遠ざかっていくなら「貸す」。逆にモノが近づいてくるなら「借りる」だと覚えれば良いわけです。これさえ覚えれば、「貸す・借りる」を使った文章も、自由自在に作れるようになるはずですよ。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

「アパートの部屋の貸し借り」など、実際のモノが移動しない場合もあります。その場合は「(一時的な)所有権や利用権」がどちらに移動するかで考えればOKです。アパートの例なら「大家さん(=主語)が、学生にアパートの部屋を貸す」「その学生(=主語)は、大家さんからアパートの部屋を借りる」などの文章が作れます

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。
このページの要点をまとめました。

  • 「貸す」は、あとから返してもらう約束で、一時的に他人にモノなどを渡したり、使わせたりすること
  • 「借りる」は、他人のモノなどを、あとで返す約束で一時的に使うこと
  • 自分(主語)から見て、モノが一時的に離れていくなら「貸す」、近づいてくるなら「借りる」を使う

ちなみに日本語では、漢字1文字で「貸=かす」「借=かりる」という意味をそれぞれ表すため、「借す・貸りる」などと表現することはありません(これが中国語だと話が違ってくるのですが、ここでは割愛します)。余計な間違いや心配を防ぐためにも、覚えておくと良いですね。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

「貸・借」の漢字を見たときに、モノや権利がどう移動するのかをパッとイメージできるようになれば、「貸す・借りる」の使い分けもそのころには問題なくできているはずです。このページを参考にしながら、ぜひいろいろな例文にあたってみてくださいね!

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