12月15日は年賀郵便特別扱い開始日です。
2023年12月15日(金)から12月25日(月)までに差し出された年賀状は、2024年の元日に届けられます。
逆に、12月14日以前(年賀郵便特別扱い開始前)に差し出された年賀状は、通常の配達日数で年内に届けられます。

年賀状の引受は何日からですか?
2024年(令和6年)の年賀状の引受開始は2023年12月15日(金)からになります。
一通でも多くの年賀状を元日にお届けするためには、できるだけ2023年12月25日(月)までに差出しをお願いします。

出典:年賀状の引受は何日からですか? – 日本郵便

なお、年賀郵便特別扱い開始後に、年賀はがきを通常の配達日数で届けてほしい場合は、料額印面下部の「年賀」の文字を二重線などで消して差し出せば、通常の配達日数で先方に届きます(年賀はがきを、締め切りのある懸賞応募に利用する場合など)。
料額印面とは、年賀はがきの表面に印刷された、郵便料金を示す証票のことです。一般的に切手と似た図柄になっています。

年賀状の料額印面と「年賀」の文字03
▲二重線での消し方の例

今回は年賀状や、年賀状にまつわる郵便事業の歴史について、ゆっくり解説していきます。内容は以下の3本立てです。

  • 【11世紀】年賀状の起源は平安時代!?
  • 【明治】年賀状が殺到!特別扱い開始へ
  • 【昭和】お年玉付で年賀はがき誕生!当時の賞品は?

さっそく、一緒に見ていきましょう!


年賀状の起源は平安時代!?

郵便制度の発足は明治時代の始めですが、年賀状の起源をたどると、平安後期の11世紀中頃まで行き着きます。
平安時代の学者・藤原明衡ふじわらのあきひらが著した『明衡めいこう往来おうらい雲州うんしゅう消息しょうそく)』の中に、年始の挨拶、すなわち年賀状の例文が書き残されているのです。

藤原明衡『明衡往来(雲州消息)』
▲藤原明衡『明衡往来』東京学芸大学附属図書館所蔵 CC BY 4.0 (画像を一部改変済み)

当時の年賀状は、公家くげ殿上人てんじょうびとといった身分の高い人たちが、使者を使って届けていました。公家とは、朝廷に仕える役人のこと。殿上人とは、天皇側近に仕える資格のある貴族のことです。

【明治】年賀状の特別扱い開始へ

時は流れて明治時代。近代郵便が明治4年に創業すると、年始の挨拶を郵便で送る習慣が広がります。明治6年(1873年)に、封書よりも気軽に差し出せる郵便ハガキが発行されたことも、流れに拍車をかけたようです。

日本近代郵便の父・前島密(1円普通切手)
▲日本近代郵便の父・前島密(昭和27年発売 1円普通切手)via Wikimedia Commons 日本国郵政省(加工済)

ところで、明治時代の一般家庭では、元日の午前中に近所への挨拶回りを済ませ、そのあとに年賀状を書くことが多かったと言われています。中には、お正月の書き初めと合わせて、1月2日に年賀状をしたためる人もいました。

このような背景により、年始の時期に郵便局に年賀状が殺到するようになり、対応が困難に。そこで生まれたのが、前年に出された年賀状を元日に配達する「年賀郵便物特別取扱」です。

当初の年賀郵便物特別取扱の仕組み
  • 12月20日~30日に、指定した郵便局に年賀状を出す
  • (郵便局側は)1月1日の日付印を押して、配達局へ送っておく
  • 元旦の最先便から配達する

年賀郵便物特別取り扱いは、明治32年に一部の指定局で実施されたのち、明治38年にすべての局に広がります。制度として確立されたのは、年賀特別郵便規則が施行された明治39年12月のことでした。

当時は、差出通数10通以上の制限があったうえに、年賀状の束に「年賀郵便」の札を付けて、郵便局の窓口に差し出す必要があったそうです。
なにはともあれ、この年賀郵便物特別取り扱いを機に、年賀状の差出時期が年始から年末に変わったというわけですね。


▲明治時代の年賀状 via Twitter 弥生美術館・竹久夢二美術館

【昭和】最初のお年玉賞品は?

昭和24年(1949年)には、初のお年玉付郵便はがきが発行されました。アイデア主は郵便局員…、ではなく、京都在住の民間人だった林正治さん。最初の特等は高級ミシンで、6等は今もおなじみの記念切手でした。

賞品(本数)
特等高級ミシン(18本)
1等純毛洋服生地(360本)
2等学童用本皮グローブ(1,440本)
3等学童用洋傘(3,600本)
4等葉書入れ手箱(7,200本)
5等便箋封筒組合せ(54,000本)
6等記念切手(3,600,000本)

当時はまだ戦争の混乱が続いており、年賀状の取り扱い枚数が落ち込んでいました。林さんのお年玉付年賀状のアイデアは「年賀状の復活によって、戦争で連絡が途絶えた人の消息が分かれば…」という思いから発展して生まれたようです。

最初に発行されたお年玉付郵便はがき(右側は寄附金付き)
▲最初のお年玉付郵便はがき(右は寄附金付き)via Wikimedia Commons Japan Post public domain

【まとめ】内容をおさらい!

最後までご覧いただきありがとうございます。おさらいとして、今回の内容をまとめておきますね。

  • 12月15日は年賀郵便物特別取扱い開始日。この日から25日までに差し出された年賀状は元日に届く
  • 年賀状の起源は平安後期にまでさかのぼるとも言われる(藤原明衡『明衡往来』)
  • 年賀郵便物特別取り扱いが始まったのは明治32年(1899年)のこと
  • 昭和24年に、初のお年玉付き郵便はがきが発行。最初の特賞は高級ミシンだった

個人的には、郵便はがきの発行(明治6年)が意外と最近なんだなぁと感じました。

封書→はがき→メール→LINE→SNS(不特定多数へ)と、新年の挨拶はどんどん手軽に。とはいえ、あえて以前の手段を使うのも、また味わい深いものです。
あなたは今年(来年)、どんな方法で新年の挨拶をする予定ですか?

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