諸説ありますが、1月2日の夜に見る夢を「初夢」といいます(元日の夜や、大晦日の夜に見る夢を初夢とする考えもあります)。
そして、初夢で見ると縁起が良いとされるのが「一富士二鷹三茄子(いちふじ にたか さんなすび)」です。

初夢(一富士二鷹三茄子)01
▲こうしてイラストにして見ても、確かに縁起が良さそうな気がする

これらの由来については諸説ありますが、徳川将軍家とゆかりの深い駿河するが国(現在の静岡県中部~東部)の名物と結び付けたとする説が多く、もともとは「徳川家康の好物」かつ「高いもの」の例えとして挙げられていたんだとか。
その夢を見ることで、庶民が家康のパワーにあやかろうとした結果、今のような形になったと言われています。発祥は江戸時代だったんですね。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

それにしても「一富士」の富士山が(日本一)高いのはよく分かりますが、ほかの2つはなぜ「高い」とされているのでしょうか? このページで紹介していきますね!


一富士二鷹三茄子の由来は?

一富士(いちふじ)

一富士は言うまでもなく、日本一高い山・富士山のことです。東京からだと、今でも東京スカイツリーなどから見ることができますが、江戸時代には江戸各所から富士山が遠望できたと言われています。
吉夢の理由として「不死」の語呂合わせを挙げる場合もあるようです。

初夢(一富士)01
▲「一富士」の富士山。いつ見てもキレイだけど、初夢でも見てみたい

二鷹(にたか)

今では鳥の鷹(タカ)をイメージする人が多い「二鷹」ですが、「一富士二鷹三茄子」が最初に登場したとされる『甲子夜話かっしやわ』では、鷹は愛鷹山(あしたかやま・足高山)であるとしています。

愛鷹山(足高山)と富士山01
▲愛鷹山(足高山)。富士山が写真右奥に見えています

愛鷹山は富士山の南東にある標高1,187メートルの火山で、駿河東部から富士山を見ようとすると、愛鷹山がその姿を隠すため、当時は愛鷹山こそが二番目に高い山だと思われていたんだとか。ただし、江戸から愛鷹山は見えなかったため、時代とともに鳥の鷹へと変化したようです。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

鳥の鷹が鋭い爪でモノをつかみ取ることや、鷹が「高」につながることから、立身出世や栄達と結び付けて説明しているところもありますよ

三茄子(さんなすび)

三茄子のナスは、静岡市の三保で栽培されている折戸おりどなす」のことだと言われており、徳川家康をはじめとする徳川将軍家に献上していた記録が残っているんだとか。


▲折戸なす。明治以降栽培が途絶えていましたが、2007年から出荷が復活しています via JAしみず公式

江戸時代に朝鮮の使節団が、三保の松原を「まるで理想郷のようだと」漢詩に詠ったり、雪舟の『富士三保清見寺図』などの作品で、富士山と三保松原は一体であると考えられていたりと、三保は神聖な場所とされていました。三保で栽培される茄子にも、そうした付加価値が付いていたようです。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

加えて、促成栽培が盛んだった三保の茄子は、通常よりも約1か月早く出荷できたため、江戸市中で市場価値がとても高い状態で出回り、庶民には高嶺の花だったんだそう。こうした理由も、初夢の題材につながっていったのかもしれません(ちなみに「成す」の語呂合わせもあります)

初夢の続きは「四扇五煙草六座頭」?

一富士二鷹三茄子の続きとされているのが「四扇五煙草六座頭(しおうぎ ごたばこ ろくざとう)」です。

四扇五煙草六座頭(しおうぎごたばころくざとう・初夢「一富士二鷹三茄子」の続き)01
▲四扇(しおうぎ)五煙草(ごたばこ)六座頭(ろくざとう)。座頭は琵琶法師の座に属する剃髪した盲人の称です

こちらは江戸時代の国語辞書『俚言集覧(りげんしゅうらん)』に登場していますが、意味や由来はハッキリしていません国立国会図書館デジタルコレクション。とはいえ、続きが存在するのは面白いですし、語呂が良いので声に出して読みたくなりますね。

まとめ【狙った夢を見る方法は?】

最後までご覧いただきありがとうございます。
このページの要点をまとめました。

  • 諸説あるが「一富士二鷹三茄子」の由来は「富士山、愛鷹山、折戸なす」とされる
  • いずれも徳川将軍家とゆかりの深い、静岡・駿河国の名物である
  • 「四扇五煙草六座頭(しおうぎ ごたばこ ろくざとう)」という続きも存在する

東邦大学の渡辺恒夫名誉教授によると、狙った夢を見るためには、起床時間の30分前後に、夢に関係のある音楽や朗読が耳に入るようにするのが最も確率が高い方法なんだとか(FNNプライムオンラインの取材記事より)
富士山の歌(文部省唱歌『ふじの山』など)を耳元で流せば、初夢に「一富士…」が登場するかも!?

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